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いしいたけしのブログ

フィリピンはなぜ貧しいのか?14年間、現地の貧困問題に関わってわかったこと。

投稿日:2019年9月9日 更新日:

フィリピンで貧困問題に関わり14年がたちました。いしいたけし@kuya_takeshiです。

これまでフィリピンに長く関わってきて得た知識や経験から、なぜフィリピンは貧しいのかをまとめました。

植民地支配の負の遺産

フィリピンは1946年に独立を果たすまでスペインに376年、アメリカに44年、日本に3年間支配された歴史を持ちます。

つまりフィリピンはわずか70数年前まで400年以上に渡って虐げられ奴隷として扱われ続けたのです。

奴隷に求められることそれは「言われたこと従順にこなすこと」「余計なことはしないこと」そしてミスをすれば罰せられ、反抗すれば殺される。

その歴史が現在の国民性にも影響しフィリピン人は「言われたこと以上のことをしない。向上心を持たない。だから成長しない。」そう揶揄されます。

でも、それはそうするしかなかった植民地時代が強く影響しているのです。

実際にフィリピン人と生活しているとわかりますが、現状を努力して変えていこうという姿勢は見られませんし、誰かが現状を変えてくれるのを待っています。

これがフィリピン植民地時代の負の遺産であり、ひとつのフィリピンの貧困の要因と言えます。

バナナが国を貧しくする?多国籍企業による支配

フィリピンと言えばバナナを思い浮かべる人が多いと思います。そのバナナからもフィリピンの貧困の理由が見えてきます。

フィリピンのバナナ・プランテーション(大規模農園)の多くは日本やアメリカの多国籍企業により作られました。

その当時まだ産業は発達しておらずビジネスの経験や知識がないフィリピン人たちは、巧妙な企業の商談に丸め込まれてバナナ・プランテーションをはじめます。

そして作られたバナナは商談を持ち込んで来た企業に安く買い叩かれます。バナナを他企業に売れないように独占契約などを結ばされていたためです。

バナナの売上げのほとんどは企業側が吸い上げ、例えば100円でバナナが売れても農園労働者に入るのはわずか2円以下と言われています。

そうやってフィリピンの一次産業の利益は搾取されていき、バナナを作っても儲かるのは多国籍企業のみという構造が作られました。

ちなみにこの話は「バナナと日本人」という本に詳しくあります。

いかにして日本人がフィリピンの貧困を作り上げたかということがわかります。フィリピンの貧困問題に関わる人の必読書です。

フィリピンがいまよりもずっと貧しい時代に多国籍企業はフィリピンに入り込み、先行者のアドバンテージを持って現在に至るまでフィリピンの産業を支配しています。

バナナはあくまでもひとつの事例ですが、あらゆる産業でフィリピン人がどんなにがんばっても儲からない仕組みができているのです。

国内での支配階級による独占

写真に写る男性は10年以上に渡りフィリピンの長者番付No.1であり続けたヘンリー・シーです。

2018年の彼の総資産はなんと2兆1100億円でした!

これはフィリピンの国家予算の1/4に相当します。

ちなみに2018年のフィリピン長者番付、第5位の総資産を合計すると国家予算1/2に相当します。

さらにこの長者番付上位にいる人たちはほとんどが華僑やスペイン系の移民でオリジナルのフィリピン人はほとんどいないのです。

現在、フィリピンは毎年7%程度の経済成長を誇り発展を続けています。

しかし、その恩恵を受けるのは基本的にこうした富裕層の人たちです。そして彼らの所有する会社の経営は財閥の一族や親戚で占められ、高い役職の仕事は彼らとつながりのある人たちでほとんどが埋まっています。

そして、会社に雇われる一般の労働者たちは安い賃金で買い叩かれているのです。

そのためフィリピンは「国の豊かさの8割を20%の人たちが所有し、残りの2割を80%の人たちが分け合って生きてる。」と言われるほどの格差が存在しているのです。

仕事がない就職ができない

ここまでは国としての大きな視点で見てきましたが、もう少し小さく個人レベルでフィリピン人はなぜ貧しいのかを見ていきます。

ひとつの大きな要因は正社員の仕事を得られないことが大きく影響しています。

では、なぜ正社員になれないのか?その主な理由が以下の2つです。

・会社が6ヶ月間しか雇用しない。
・コネがないと良い仕事に就けない。

フィリピンでは社員を雇用してから6ヶ月を過ぎると正規雇用(正社員)として雇わなければならないという法律があります。

逆に言えば6ヶ月以内だと非正規雇用(アルバイト)として雇うことができ支払いは最低賃金のみで済みます。

そのため会社としてはなるべく正規雇用として人を雇いたくないのが現実です。

ショッピングモールのスタッフもほとんどが非正規雇用

またフィリピンでの就職にはコネが最重要です。

会社は広く社員募集を掛けると仕事に就いてないたくさんの人が来てしまい採用コストがかかります。また6ヶ月間限定の雇用のためその社員たちにお金を盗まれて逃げられるというのもフィリピンの会社ではあるあるです。

それらを避けるためには信頼できる社員の知り合いを雇う(コネを使う)のがコストも掛からず会社としては手っ取り早いのです。

すると一般企業とのつながりが少ない(コネがない)人には良い仕事が回ってこない。運良く見つけることができても正社員にはなれないのです。

ちなみにフィリピンの最低賃金は1日約700円(約350ペソ)です。

ただこれは守られないのが現実で田舎に行けば1日100円200円で働いてる人はざらにいます。

フィリピン人のクラブメンタリティ

なぜフィリピンは貧しいのか?最後のひとつはフィリピン人のクラブメンタリティ(カニの精神性)です。

フィリピン人は貧困から抜け出そうとする人がいると、周囲の人がその人の足を引っ張って抜け出せないようにすると言われています。

それが籠の中で足を引っ張り合い互い、抜け出せないカニの姿に例えられてクラブメンタリティと呼ばれています。

努力してお金を稼いで貧困から抜け出そうとしても、周りの家族や友人に足を引っ張られて結局貧困から抜け出さない。それがクラブメンタリティです。

詳しくは別記事にあげているのでそちらをご覧ください。

フィリピン貧困の原因はクラブメンタリティ?

まとめ:なぜ貧しいのか?貧困からの脱却は?

ここまで書いてきたフィリピンの貧しさの原因をまとめると

・奴隷時代により作られた国民性
・多国籍企業による搾取
・国内での支配階級による利益の独占
・仕事がない正社員になれない
・足を引っ張り合うクラブメンタリティ

の5つをあげてきました。

フィリピンが貧困から脱却するには多くの課題がありますが、しかし、もちろんそこから抜け出そうとがんばってる部分もあります。

例えば、現在フィリピンでは公立大学の学費が無償となりました。そのため大学に行ける人たちが増えていきます。大学を卒業すればコネがなくても資格などを取って良い職業に付ける可能性は広がります。

他にも社会保障に力を入れ始めており4PSと呼ばれる貧困層への現金支給による支援政策、低賃金労働者への非課税化などを行っています。

ただし国自体が貧しく力がないのでその足並みは早くありませんが、今後さらに経済成長が進む中で富の再分配が進み貧しい人への社会保障が充実すること、また雇用の平等化などが今後のフィリピンの鍵となっていくことでしょう。

最後にフィリピンについてもっと知りたい人のためにおすすめの一冊を載せておきます。

 

これを読めば貧困についてはもちろん政治や経済など、広くフィリピンの現状が見えてきます。難し過ぎず読みやすいのでおすすめです。







-フィリピン文化・価値観

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